「麻痺する感覚と生きがい」

「麻痺する感覚と生きがい」
息子は1歳で受けた心臓の手術中から不整脈を起こすようになった
手術後、ICUで息子に初めて会った時
息子には簡易のペースメーカーがつけられていた

投薬治療が試みられたが、全てダメ

脈が極端に早くなるか、逆に極端に遅くなってしまう事が続き、
脈を正常に戻すために、電気ショックを何度か受けた

モニターが
正常の緑から、異常を示す黄色、そして赤に
「ピー」と大音量で鳴り響き
赤いモニター

何人もの看護師さんや医師が走ってくる
「これからICUへいきます。」医師から告げられた言葉に
私は小さくうなずくだけ
そんな日々を過ごしていると
感覚が麻痺してくる

「心室や心房に1つや2つ孔があいてるなんて、たいしたことない。まして手術で塞げるなら」
そう思っている私がいた
実に嫌な奴、最低だ

毎日、死と背中合わせの日々で自分を擦り減らしていた
荒んだ毎日
息子と何回も同じアニメをみて
体を拭いて…
息子が眠ったらシャワーを浴びて、栄養ドリンクで
チョコレートを流す様に食べて簡易ベッドで寝る
また心臓が不整脈を起こさないか…
怖くて眠れない
息子が眠れていればいい

そして
医師から告げられたのは
「一生点滴をして病院で暮らすか?
ペースメーカーを植え込み家へ帰るか?」
どちらの選択にするかだった。

私は息子を家に連れて帰りたかった。

ペースメーカーを植え込みすれば、MRIに入れないなど様々な制限はあるが、安定してペーシングしてくれるので、不整脈の心配からは解放される

息子はペースメーカーを植え込み家へ帰る事ができた。
2ヶ月間、ベッドで寝たきりだった息子は
歩けなくなっていた。

私の麻痺した感覚はどうなっているのだろう…
患者さんを軽視しているわけでは決してない
人間は耐えられないほどのストレスがかかると
精神が崩壊する

私は今、「生きがい」と「自己犠牲」で混乱している。
病気の家族を支える為に自分のやりたい事を我慢する
私のスケジュール帳は通院や福祉の手続き、懇談会などで埋め尽くされている。
あとは受診の際の医師の話のメモ書きがびっしり
煮詰まる

私はなんなんだ?

私の前の精神の主治医が言った
「あなたが治らないのは自分の人生を生きていないからだ」
自分の人生?

それが何なのか?答えは出ていない。

でも、この会は私の生き甲斐だ。
それだけははっきりと言える。

自己犠牲でもなく、家族の為でもなく
私がやりたいと思ってやっている。

人生をかけてやりたいと思える事に出会えた私は
遠回りしたが、幸せなのかもしれない
2018年6月21日(木)
この世の全てに感謝して🍀

旧ホルト・オーラム症候群の会 "ハート&ハンド

最新のHPは https://hos-heart-and-hand.org/ ホルト・オーラム症候群の会を始めた頃の事が中心です ホルト・オーラム症候群の会は この病気の患者様やご家族の交流会の場であり 情報交換や勉強会を主としています *個人情報に関しては以下の通り 約束を厳守できない方には法的手段をとります この会で知り得た情報の公言・拡散等の禁止 尊厳の尊重 暴言等の禁止

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