運営代表あいさつ

 はじめまして&こんにちは! 
 私は矢沢知恵と申します。

私は「ホルト・オーラム症候群の会-ハート&ハンドの会」を運営しております。 
私の息子は「ホルト・オーラム症候群」という遺伝子の病気です。
この病気は手や手首の奇形や心臓疾患を持って生まれてきます。
この会の名前に「ハート&ハンドの会」とつくのは、心臓と手が病気を持って生まれてくるという特徴を表したものです。 私がこの病気を知ったのは2007年5月。息子が心臓の手術を受ける前日でした。
この十数年間、私達家族は遺伝科を受診しながら、この病気について個人的に調べてきました。
しかし、情報はほとんどなく、また同じ病気の方にお会いする事も未だにできていません。

  そこで私は「ホルト・オーラム症候群の会」を2018年1月に作り、Facebookのページで病気の方を探す旅を始めました。

息子が生まれた時、奇形した指を見て「この子を育てる事ができるのであろうか?」「将来はどうなるのか?」と不安に苛まれ、 正直、息子の誕生を心から喜ぶ事ができませんでした。 

しかし、生まれて数時間後に新生児室で可愛い、愛らしい息子を見た時、本当に感激して喜びのあまり 大量の鼻血を出して、看護師さんに付き添われて病室に戻ることになりました。 

不安な気持ちはありましたが、本当に愛らしく、この世に自分の命より大切な存在はいないと思いました。 そのすぐ後、息子は呼吸と脈が乱れNICUのある病院へ救急搬送されていきました。 絶望が私を蝕みましたが、息子は一生懸命に病気と闘っていました。
ホルト・オーラム症候群は手や手首の奇形、心臓疾患が患者さんごとに病状が異なります。

 手がない、指が2本しかない、親指が奇形している、手の奇形はほとんどないが心臓病が重いなど患者さんそれぞれによって違ってきます。

息子の場合は両手の親指が奇形しており、特に左手の親指の方が奇形が強い。そして重度の心疾患です。
「両側橈側列形成不全」(りょうそくとうそくれつけいせいふぜん)
息子の手の病名です。中国語かと間違えるような、呪文のような病名です。主治医からこの病名を聞いた時、私はこの病名を読むことも書くこともできませ んでした。

主治医はとてもわかりやすく説明をして下さるのですが、私の人生で聞いたことのない単語ばかりで、診察室を出た後、頭の中は混乱して整理できませんでした。

息子の右手の親指は関節が通常より1つ多く、3歳の時に手術を受け、現在は握力が弱いですが日常生活に支障はほとんどありません。ただ、小さなボタン を留めたり外したりすることやチャックがありボタンのあるズボンをはくことができず、中学校の制服のズボンは総ゴムの特注です。

手首は筋、骨の発育不良でうまく動かす事ができません。お釣りをもらう時に手のひらでお釣りを受け取る事ができません。 鉄棒や逆立ちができません。左右、腕の長さが違います。
左手に関しては本人の強い希望もあり、「動かなくてもきれいに5本並んだ手になりたい。手袋をはめたい」それを叶える為に2016年にかなり技術的にも手術後の管理も難しい手術を受けました。

この手術は1回で終わるものではなく、何回かに段階をわけて手術をしていきます。

まだ全ての手術が終わっていませんが、この2016年に受けた手術は彼にとって過酷な入院生活になりました。血管を作るために2週間同じ姿勢でいなければ ならず、寝返りをうつ事も出来ません。足から点滴が入り、尿管も入りました。寝る時は足をベッドに縛りつけます。この入院生活で心を病み、不安障害に なり息子は次へのステップに進めないままです。
今は児童精神科に通いながら、日常生活を取り戻すために頑張っています。 心臓は多発生心室中隔欠損症などがあり、これまでに何回か手術を繰り返し、フォンタン手術を受け、今はペースメーカーを植え込み、生活しています。 暗い話ばかり書いてしまいましたが、我が家は毎晩今日一日が無事に過ごせたら「乾杯」をしています。

この世に「当たり前」の事は一つもありません。 

長くなりましたが、私がこの会を始めようと思ったきっかけは、私は息子と同じ病気の方を探して、お話をしたいと思ったからです。 

息子と同じ病気の方は必ず日本のどこかにいらっしゃる。私は何年でも待ちます。 

私はいつも負けそうになります。
もう人生をあきらめたくなります。

でも、息子のお陰で私は沢山の人々に出会い、沢山の経験をすることができました。
私のようなお母さんはもういてはいけません。

どうか宜しくお願い致します。

2020年5月26日火曜日

ホルト・オーラム症候群の会 代表 矢沢 知恵